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日本人はでんぷんを食べるのに適した遺伝子を持っている?アミラーゼのコピー数の違い


アミラーゼという消化酵素に関してはここでもちょっと触れたことがあると思います。

アミラーゼは唾液の中、あるいはすい臓から分泌されるすい液の中に含まれる消化酵素で、食物に含まれるデンプンをオリゴ糖にしてしまうものです。

例えばダイエットに効果的であるとされる白インゲン豆の中に含まれる酵素はアミラーゼの機能を阻害するために、でんぷん質の分解が阻害されて、消化管での糖質吸収が妨げられるというわけです。


「人間は糖質を食べるべき生物である!それは唾液腺の中にアミラーゼが含まれていることを見ても明らかである!」

そう主張される方々もいらっしゃいますね。

そのことに関してはもう一つ別の記事で触れてみます。 ⇒準備中 マウスとヒトのアミラーゼ


さて、この唾液腺におけるアミラーゼの分泌量に、人種、というか主食としている食品栄養構成によって差が見られる、ということがあったとしたらどうでしょうか?

たとえば、「日本人は唾液腺アミラーゼの発現量がヨーロッパ系の人に比べて非常に高い」、そういうデータがあったとしたら?


「日本という国の開闢依頼、神代の時代から、日本人はお米を食べてきて、体がそれに適応しているのだから糖質制限は向いてない!」

と主張されている方々であれば、飛びつきそうなデータ、というかそのぐらいの根拠は示してほしいですよね。


実は、それに近い科学的なエビデンスがありました。(^_^;)(^_^;)(^_^;)

日本人が「既に穀物食いに適応しつつある人類集団の一つ」であるのは間違いないようです。

でも、これが日本糖尿病学会の主張に塩を送る話になるのかどうかはよく読んでくださいませ。




さて、いきなり、その論文に行きます。

2007年にNature Gneticsに発表されていた以下の論文です。


Diet and the evolution of human amylase gene copy number variation
George H. Perry et al.,
Nat Genet. 2007 October ; 39(10): 1256-1260.

Starch consumption is a prominent characteristic of agricultural societies and hunter-gatherers in arid environments. In contrast, rainforest and circum-arctic hunter-gatherers and some pastoralists consume much less starch.
This behavioral variation raises the possibility that different selective pressures have acted on amylase, the enzyme responsible for starch hydrolysis.
We found that salivary amylase gene (AMY1) copy number is correlated positively with salivary amylase protein levels, and that individuals from populations with high-starch diets have on average more AMY1 copies than those with traditionally low-starch diets.
以下略


アミラーゼ遺伝子のコピー数が、人種というか、地域や集団によって大きく異なるという報告です。

日本人を含んで、穀物を主食としてきた農耕民族ではアミラーゼのコピー数が多くて、機能的蛋白としての発現量も高い。

それに対して、エスキモーなどの狩猟採集生活をずっと続けてきた低糖質生活を続けてきた人々では明らかに少ないというのですね。


具体的なデータはこれらのグラフに集約されています。


Amy1 copy numbers distribution NG2007-01.png
高デンプン食集団と低デンプン食集団のアミラーゼコピー数分布


Amy1 copy numbers race NG2007-02.png
複数の人種におけるアミラーゼコピー数比較


日本人やヨーロッパ系アメリカ人などの、コメや小麦を主食として数千年暮らしてきた人達の唾液腺アミラーゼの発現量は、エスキモーなどの、狩猟採集生活を続けてきた低糖質生活を送る人たちに比べれば、40%ほど高いというのです。

つまり、自然の中で生きるのではなくて、農耕を食料獲得の主軸として生きるようになった人たちの遺伝子配列は既に「でんぷんを食べること」に適した遺伝子変化を始めていた。

ということになります。

面白いことに、日本人とヨーロッパ系アメリカ人を比較した場合、ヨーロッパの人の方がアミラーゼのコピー数は多いようです(図のグラフで言えば一番右寄りにあります、統計学的に優位な差なのかどうかはよく読んでませんけどw)。

日本糖尿病学会の主張とは逆に、日本人よりもヨーロッパ系の人たちの方が、よりデンプン食に適した遺伝子配列を持つ人類集団であるということになります。ww

アメリカ糖尿病学会でも、イギリス糖尿病学会でも糖質制限を短期間は認めているけれども、日本人はコメを主食とする特殊な伝統文化を持ってるから違うのだ、同じに考えてはダメだ、という、日本糖尿病学会の公式見解で展開された主張が思いっきり非科学的な根拠に基づいている、それがこの論文を読むことで明らかになったというわけです。www



この論文を発見して私、かなりびっくりしました。

日本人がコメを主食として食べるようになったのが最近数百年のことだから、まだまだ「ご飯を食べる」ことに適した遺伝子変化なんか起きてないだろう。

1万年ぐらいかけても集団全体の数%にしかその変異の普及は及ばないに違いない、日本人が米食いに特殊化した集団になるには今から数万年後だ。

そう思っていたのですが、数千年というスパンで見ると、食物に適応した遺伝子変化が既に、集団の中に反映されていたのですね。


人類は数千年(から一万年前)に農耕という手段を手に入れて以来、「消化に必要なコピー数の増加した個体が有利に生き残った」という選択過程を経て、急速に「糖質摂取に適した遺伝子変化」を取りつつあると思われます。

非常に速いスピードで、人類の「ゲノムレベルでのでんぷん摂取への適応」は進行中だというわけです。


大腸菌などを用いた遺伝子変異の実験報告から導き出された理論などを元に、私が思っていたよりも数倍速いです。

ただし、アミラーゼはコピー数の個人差が大きい遺伝子として古くから知られていたということですから、それがもっとも明確に現れた例であり、他の遺伝子にはあまり大きな差は見られないのかもしれません。

(コピー数の変化であって遺伝子変異の増加ではないというところも考慮すべきなのですが、そこには触れません、遺伝学は説明しだすと私自身もワケワカメになるから(笑)。)



どうしてこのような遺伝子変化の濃縮が、予想をはるかに超えるスピードで進行したのでしょうか?

これは狼が犬になった変化を見ていてもわかりますが、 ⇒記事準備中 

その主な理由は、食糧危機とそれへの適応と選抜にあったと思います。


地球は現在、寒くはない時期ですが、人類が生まれて以降、何度も小氷河期が訪れています。

その度に、我々人類の祖先は食糧難に見舞われ、少ない食料で必死に生き延びてきたはずです。

農耕を主体として、穀物を備蓄できるようになったとしても、寒い夏が来ればその年は不作になる、小氷河期はそれが何年も続くので、穀物不足の飢饉が起こりますよね。

それを乗り越えることができるのは、集団として対応策に優れていた人たちか、そしてその中にあっても、省エネ体質を持った人たちです。


たとえば、日本人を含むモンゴロイドが持っている省エネ体質として、基礎代謝に関わる遺伝子の突然変異が有名ですね。

「肥満遺伝子」としてその検査の商売もあるようですが、その遺伝子変異があると基礎代謝量が低くなるので、生きていく上での最低カロリー摂取量が少なくて済むというものです。

これは食糧不足にしばしば陥るような時代であれば生き延びる上で有効ですが、現代のように飽食の時代にあっては、基礎代謝の高い人と同じペースで食べるとエネルギーが余るので肥満に結びつくという厄介なものですね。


これと同じ変化として、ヨーロッパ人でもアジア人でも、「農耕民族における唾液腺アミラーゼコピー数の変化」が起こっているものと思われます。

食糧危機の時に、同じ量の澱粉を食べた時に、唾液腺のアミラーゼの発現量が多い人のほうがたくさんの澱粉をオリゴ糖に分解できるので、糖質として効率よく吸収できるということになります。

天候不順による穀物不作の時に生き延びる可能性が高くなるわけですね。

そういうセレクションが、数千年前から農耕を主体として定住してきた人々のあいだでは積み重ねられてきたということになります。



ヨーロッパ人も日本人もエスキモーに比べれば、アミラーゼの量がかなり多いのです。

ということは、口の中で澱粉がオリゴ糖に変わるスピードも早く、穀物を噛むことで感じる甘味を感じる能力も高いということになります。


「米を主食とする日本人は、欧米人に比べれば糖質制限の持続が困難であると思われる。それは米を食べてきた日本人の伝統であるから仕方がない。」

そういう意見がただの「妄想」でしかないことがこのアミラーゼ発現を見てわかりますね。

むしろ、あえていえばヨーロッパ系の人の方が日本人よりもデンプンを消化する能力が高く、甘味を感じる能力も高い、挫折する確率も高いだろう、ということになります。




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個人差というのは恐ろしいもので、アミラーゼのコピー数が図抜けて高い人もいて、日本人ではコピー数が11個という人までいたようです。

(もちろんエスキモーの集団の中にも図抜けて高い人はたまにいます。)

そうなってくると、ご飯を食べてもパンを食べても、普通の人の2倍、下手したらそれ以上の甘味を感じてしまうわけですね。


「あたし、ごはん食べるの止めるのだけは無理、生きてる意味がないわ。」

というぐらい、糖質の甘味に魅せられてしまう人がいるのもなんかわかるような気がしてきました。


糖尿病ではないのだけれども、糖質制限でダイエットしようとして、挫折しちゃったあなた。

一度は痩せたんだけど、辛くてまたご飯食べ始めたら止まらなくなってぷくぷく太りだしたあなた。

自分を責めてはいけませんよ。

きっと、あなたは運悪く、ご飯の甘味をほかの人よりもずっとたくさん感じることのできる唾液を持ってたのでしょう。

そしたら遺伝子のせいですから仕方ありません。




ということにしておきましょうかね(笑)。

私はアミラーゼ平均的なようでよかったです(^_^;)。



・・・あれ?

ひょっとして酒飲むとアミラーゼの分泌量が抑えられるなんてこともありますかね??

だから酒飲みは甘いものがあまり美味しく感じないとか???


・・・ざっと調べてみたら、ラットにエタノールを飲ませるとアミラーゼ分泌量が下がるという報告と、上がるという報告とがありました。

これはすい臓のアミラーゼに観点が置かれていると思います。

唾液腺のアミラーゼ分泌に関して、もうちょっとキーワードを調べる必要がありますね。


「アルコールを頻繁に飲む人は糖質の消化亢進につながる、あるいは高血糖の快感アップにつながる分子の発現量が下がっている」なんてことがあったら面白いなあ。

酒飲みが簡単に糖質制限できる理由の説明になりますね。

糖質制限が成功する連中は酒飲みが多いし。


逆の発想で言えば、エタノールが抑えている(かもしれない)そういう糖質消化や高血糖の快感に関連する分子の発現を、エタノールの代わりに押さえ込む薬剤ができれば、糖尿病の食事療法の補助薬やダイエットの薬として売れるかもしれませんね。

食の嗜好を変えてしまうような中枢神経に作動する飲み薬。


・・・諸刃の剣だろうな、たぶん(^_^;)





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2013年3月24日 15:16

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コメント(18)

ご無沙汰しています。しんです。

そうですよね、西洋人のほうがインスリン分泌能が高くて、アミラーゼもたくさん出るというのは合理的ですね。
でんぷんをたくさんとって分解消化したら血糖値もあがりそうになりインスリンもたくさん必要ですものね。
だから肥満度も高くなれるんですよね。

農耕をする民族がエスキモー達より遺伝的に比較的でんぷんの消化に向いているのは、農耕が始まってから進化したという側面もあると思いますが、それよりも狩猟採取においても極寒の地よりでんぷん質の多い木の実や根菜をある程度摂取してきたからではないかと思うのですがどうでしょうか?

しかし常識は科学ではなく、とある学会が科学を放棄しているのには笑ってしまいます。

カルピンチョ先生

>アミラーゼ遺伝子のコピー数が、人種というか、地域や集団によって大きく異なるという報告です。

知らなかった事象で興味深く読ませていただきました。
これって、エビジェネティクスの分野での研究かと思いました。

 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A8%E3%83%94%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%83%8D%E3%83%86%E3%82%A3%E3%82%AF%E3%82%B9

  >「ヒストン修飾:
   クロマチンはヒストンにDNAが巻き付いたヌクレオソ   ーム構造を持つ複合体である。もしDNAがヒストンに   巻き付いている状態が変われば、 クロマチンリモデ   リング(再構 築・再構成)(英語版)がおき、遺伝   子発現もまた変化する」

要は、本来必要としない(新生児は別)糖質を、穀物を大量に摂取する(させられる)ことにより、
その固体の DNA に変化が生じた。と考えました。
あくまでも固体レベルでの話しで、幹細胞レベルでこんなに早く発現するのかいささか疑問に思います。

アミラーゼでこの現象ですので、αグルコシターゼにも発現しているかも知れませんね?
私、時たま外食時や、どおしても蕎麦が食べたくなった時にこの阻害薬を使用しております(笑)。
私の糖尿病専門医である主治医は正直あてにならないので自らの要望で処方してもらっております。
次回はメトホルミンを処方してもらう予定です。(目的は別のところにあるのですが・・・内緒・・・)

      山本

やっぱり精製糖質を摂ってきたことで
農耕民族は、多少の進化をしてるんですね。
だけど日本人より欧米人の方がってことで
これは日本人がコメを食べる民族だからって
糖質代謝に優れてるってことでもない・・・

米に特異的な何かってないんですか?
また、小麦に特異的でもいいんですが
その両者のt外が明らかになるようなパラメーターが・・・

やっぱ、月一で やめられない糖質をご褒美で食べて
アミラーゼの能力を確かめるくらいが
適当なんでしょうか?笑)

カルピンチョ先生

>コピー数の増加はエピジェネティクスの話とは直接には関係なくて、ゲノムそのものの変化です。

ご教示ありがとうございます。
そういえば、米国では自分のルーツを知りたくて自らDNA検査を行う人が多く、ビジネスとしても十分成り立っている、と聞いております。
数百年単位での人種・民族が分かるのだそうですので、遺伝子の変化は想像以上にはるかに早いのかもしれませんね。

話題のジャヌビア(DPP-4 阻害薬)は服用しておりません。また服用する気は全くありません。
メトホルミンとは真逆(同時使用は禁忌)の作用ですもの(笑)。
PCOってやはりインスリンが大きく作用しているようですね。

時々の薬はα-グルコシターゼ阻害薬(ベイスン グルコバイ)の方です。
両方同時使用が一番効果があると聞きますが、私はグルコバイのみ使用しております。


ネガティブキャンペーンに負けない、糖質制限ダイエッターを力づけてくれる投稿ありがとうございました。

お酒飲むとアミラーゼの分泌量が抑えられるというのは実感としてあり得そうですね。
少なくとも日本人はお米食べないと健康に悪いというより確実に科学的に聞こえます。

個人的に、お酒飲みで、お米・パン・甘いものは現在全く食べたくならないので余計に実感するのかもしれません(^_^;)

ただ月に一度位無性にドーナツとかチョコレートデニッシュを食べたい時があります。(結果的に食べない事の方が多いですが、)多分ホルモンの関係かと思います。それと今酵母たっぷりのドイツ産ヴァイスビールを飲みたくなってますが、これはここ3週間位週に一度ヴァイスビールを飲む機会があったので、嗜好の習慣化の問題ですね。。。(断ち切らなくては!)


引き続きの更新楽しみにしています。

カルビンチョ先生

糖質制限の有効性を主張されながらも、お米そのものの有用性は否定されない

先生のその姿勢には救われます

実は、私の妻の実家が稲作農家でして、定期的においしいお米を送ってくれるんです

糖質制限を始めてから、友人知人にそのお米の大半は差し上げてはいるんですが、やはり複雑な気分になってしまいます

ほんとに、ごはん、ておいしいんですよね・・・

残念ながら、私はどうも、優勢遺伝組のようです

カルピンチョ先生

遺伝子がらみの情報です。
と言っても、荻原健英って方のブログ(つい先日発見)より無断で、勝手に、断りなく転載させていただきました。
長文ご容赦願います。

私には少し難しい内容でして、これから勉強します・・(笑)

=============================
GWASのメタアナリシスにより明らかになった、東アジア人2型糖尿病の新しい8個の遺伝子座
Meta-analysis of genome-wide association studies identifies eight new loci for type 2 diabetes in east Asians.

Cho YS, Chen C-H, Hu C, Long J, Ong RTH, Sim X, Takeuchi F, Wu Y, Go MJ, Yamauchi T, Chang Y-C, Kwak SH, Ma RCW, Yamamoto K, et al.

Nat Genet. 2011 Dec 11 published online.

【まとめ】
東アジア人の2型糖尿病(T2D)の感受性遺伝子座を同定するため、3段階の遺伝子解析を行った。Stage 1のT2Dのゲノムワイド関連研究(GWAS)8研究のメタアナリシス (T2Dを持つ6,952 casesと11,865 controls)に続き、stage 2 のin silico replication解析(5,843 casesと4,574 controls)およびstage 3の de novo replication 解析(12,284 casesと13,172 controls)を行った。以上の解析により、8個の新しいT2D遺伝子座が明らかになり、それらは、GLIS3、 PEPD、FITM2-R3HDML-HNF4A、KCNK16、 MAEA、 GCC1-PAX4、 PSMD6 およびZFAND3の中または近傍に位置した。GLIS3は膵β細胞の発生とインスリン遺伝子発現に関わっており、空腹時血糖値に関連があることが知られている。PEPD、HNF4AとT2Dとの関連は以前から知られていた。KCNK16は膵のグルコース応答性インスリン分泌を制御している可能性がある。東アジア人におけるこれらの結果は、T2Dの病因解明に新しい知見をもたらすものである。


・・・以下は略

元記事のリンクはこちら
http://syodokukai.exblog.jp/15099474/

許可ない完全なコピペは著作権ルール上問題があると判断し、カルピンチョの方で削除し、代わりにリンク先urlを添追加させていただきました、すみません。

腎に関わるところで仕事をしております。小職の理解ではタンパクの過剰摂取は間違いなく腎機能を低下させると認識しています。
小職の娘が一型糖尿病を発症し、当時宣伝を開始していた荒木式に興味を抱きましたが、こと糖尿病に関しては解釈は間違っていないのですが、合併症までを考慮していない内容でしたので正直なところは実践すべきではないという結論に至りました。
人間の新陳代謝の中で必要なタンパク量は10g/Day程度でしかなく、これが認識しされ始めアースリートの方々も不要なタンパク質接種を控えるようになっています。
ではなぜタンパクが腎機能を低下させる可能性があるか、それはタンパクを摂取し消化する過程で発生する尿素窒素、リン、カリウムなどの毒素をろ過するために、腎には相当の血流が発生し、これが腎を痛める主な原因とされています。
腎も膵も同じで、ある程度まで機能が低下すると機能の回復があまり望めないのが実情です。
ではどうすればと言われれば小職はそれに解答することが出来ません。しかし、デンプン、その中でも難消化性でんぷん(難消化性デキストリンとは異なります)などを含む食材、好ましくはでんぷんのみで製造された食品などは、一般の炭水化物よりも血糖値の急激な上昇をさせないとされております。また、この難消化性でんぷんは大腸にまで達し、そこで善玉菌の栄養源になっていることも発見され、整腸作用による大腸がんなどの余病効果が高いともされています。
余計な話ばかり致しましたが、結局はいかにバランスを考えた食事であるかが重要と言うのが小職の考えです。しかし、低糖質食事療法がどこまで腎に影響を及ぼすか、それはまったくわかりません。ですので、願わくば実践されている方々には頻繁に尿検査して頂ければと思います。腎の低下は仮に腎が少々弱っただけでも、複合的な要素で一瞬にして透析になる可能性があります。
厚かましいお話を致しましたが、皆様、お体をご自愛下さればと思い投稿いたします。

『甘味、塩味、苦味、酸味、旨味に続く「第6の味」は、炭水化物の味?』
http://wired.jp/2016/09/20/carboidrati-sesto-gusto/

もし本当にこんなものがあったなら、下記あたりに関連するかもしれませんね。

>>非常に速いスピードで、人類の「ゲノムレベルでのでんぷん摂取への適応」は進行中…

>>あなたは運悪く、ご飯の甘味をほかの人よりもずっとたくさん感じる…

>カイゴロンさん

これおもしろいですね!
すごいすごい!
ありがとうございます。

超亀レス(笑)。

ほんとうにすばらしい、ありがとうございます。

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carpincho3

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私のブログをまったく読まずに一方的に質問を投げかけるのはおやめください。 いただく質問の答えは、ブログ内の記事、あるいはコメントでのやり取りに記載されている場合が多いと思います。 量が多くて読むの大変だから、ということであれば、知恵袋などの質問サイトをご利用なさってはいかがでしょうか。 また、コメントへの返信やメールへの返信は「無償の善意の第三者」としてやり取りさせていただいているつもりです。 自分の家臣に問いただす殿様みたいな非常識な投げかけは、ときに無視しますので、あしからずです。 コメントやメールには医学的に間違いないようにお答えしたいと思いますし、急に忙しくなって対応できないこともありますので時間がかかる場合があります、ご了承ください。


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